白川郷・五箇山の合掌造り集落

世界遺産検定3級4級
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本日は、岐阜県と富山県にある世界遺産を学習します。
岐阜県にある『白川郷』は一度は耳にしたことがあり、田園風景の中の合掌造りが思い浮かぶ方は多いのではないでしょうか。日本でもここにしかない独特の風景は、人気の世界遺産です。私はこれまでに三度も訪れる機会がありました。

次回は是非、富山県の五箇山まで足を延ばしたいと思っています。

①基本情報

登録年:1995年
登録基準:④⑤

伝統家屋と大家族制度にみる伝統的集落の価値

②基礎知識

岐阜県にある『白川郷』富山県にある『五箇山』は、いずれも庄川(しょうがわ)流域の山間部に位置する有数の豪雪地帯である。他の地との交流も少なかったため、第二次世界大戦後まで昔からも独自の生活文化や社会制度、習俗が残っている。
1930年に日本を訪れた世界的建築家*ブルーノ・タウトは合掌造りの集落の景色を高く評価した。

*ブルーノ・タウト:20世紀初頭に活躍したドイツの建築家。世界遺産『ベルリンのモダニズム公共住宅』の設計者のひとり。

この地域の合掌造り家屋は、山間の豪雪地帯での生活に合わせた作りになっている。両手を合わせたような形の茅葺き屋根は、45〜60度の急な傾斜を持ち、雪が落ちやすく水はけが良くなっている。また屋根の*を南北に向けることにより、冬から春にかけて庄川沿いに吹く強い風を、川の流れに沿って受け流す工夫がされている。


冬の長いこの地域では、少ない農業収入を補うため、江戸時代から養蚕(ようさん)や紙漉き(かみすき)、塩硝*(えんしょう)の生産などが盛んであった。そのため家内手工業の作業場として家屋の床が広いのも特徴。
この構造は、土地が少ない山間部で耕地が細分化しないよう伝統的に保たれてきた*大家族制にも適していた。

*豪雪地帯:白川郷のある白川村は、年間降雨量が1,000m以上あり、特別豪雪地帯に指定されいる。
*妻:屋根の両側にある、傾斜のない三角壁の部分。
*塩硝:火薬の原料となる物質で、蚕の糞や植物を床下の土の中で数年寝かせたもの。
*大家族制:一族が同じ家に暮らす生活様式。白川郷では多い時で30〜40人が1つの合掌造りの家屋で生活していたとされる。

合掌造り家屋の特徴

・45〜60度の急傾斜の大屋根は、雪降ろしの負担を軽くする。また、水はけの良い茅ぶきは、雨の多いこの土地に適している
・1階は屋根の重みを支え、広い床面積が取れる構造となる
・2階から上は屋根を形成する三角形の部分。釘などの金属を使わず、木材を組み合わせ縄で縛って造られる
・1階と2階はウスバリという構造で隔てられ、2階以上の部分を養蚕などの作業場所や居住空間として利用
・妻側に窓があり、夏季には風を通し湿気を抑え、冬季は囲炉裏の煙を抜く役目がある


茅葺き屋根は30〜40年に一度吹き替えられる。作業は古くから続く、*結(ゆい)という互助組織によって行われ、こうした伝統的な様式も評価された。

*結:多くのお金や労力を必要とする屋根のふき替えなどを、住民同士で助け合い行う互助組織

保存運動

合掌造り家屋は、江戸中期から昭和初期まで白川村から富山県の五箇山地区にかけて建てられた。古い建物で築300年と言われる。

昭和20年代から始まった庄川流域の電源開発によるダム建設による集落の水没や、小集落の集団離村や火災による焼失などにより合掌造りの建物が激減した。
こうしたなか、昭和40年代に荻町集落の地域住民が、このままでは遠からず白川村の合掌造りがなくなってしまうという危機感を抱き、集落内から保存する動きが出てきた。地域内の資源を「売らない」「貸さない」「壊さない」の3原則を掲げ、「白川郷荻町集落の自然環境を守る会」を全住民の総意で発足、保存活動を行った。

これらの保存活動が認められ、1976年に国の重要伝統的建造物保存地区に選定され、1995年には世界遺産に登録された。

③似ている世界遺産

イタリア共和国 アルベルベッロのトゥルッリ


1996年登録 登録基準③④⑤(文化遺産)


*トゥルッリは、イタリア南部のアルベロベッロを中心に見られる、16〜17世紀に建てられた円錐形の屋根を持つ住宅。
壁は石灰石を積み重ねて漆喰を塗り、屋根は石灰石を円錐形に積み重ねて固定はされていない。 それには理由がある。

当時の領主は、自身の君主であるナポリ王国の役人が家屋にかかる税金を集めに来ると、住民に屋根を壊させ「家でない」と主張することで税金を逃れた。また、自分に従わない反抗的な住民の家を簡単に破壊して懲らしめた。
18世紀末に*ナポリ王国の直轄地になると、トゥルッリは作られなくなった。

*トゥルッリ:ひとつの屋根を持つ部屋を持つ部屋をトゥルッロと呼び、それがいくつか集まってひとつの家屋トゥルッリ(複数形)となる。
*ナポリ王国:13世紀から19世紀にかけて、イタリア半島南部やシチリア島を支配した王国。  

④本日の練習問題

では、本日も世界遺産検定4級からの問題です

[1]『白川郷・五箇山の合掌造り集落』に関する次の文中の空欄に当てはまる語句として正しいものはどれでしょうか
『白川郷・五箇山の合掌造り集落』では(   )が残っているとして、登録基準⑸が認められました。

①先史時代の集落
②カクレキリシタンの集落
③近代的な建築を含む集落
④伝統的な集落

[2]『白川郷・五箇山の合掌造り集落』のある地域で行われていた産業はなんでしょうか

①放牧 ②養蚕 
③刃物生産 ④茶葉栽培

[3]イタリアの『アルベロベッロのトゥルッリ』に関する次の文中の空欄に当てはまる語句はどれでしょうか
イタリア南部のアルベロベッロを中心に見られる「トゥルッリ」は16〜17世紀にたてられた円錐形の屋根を持つ(   )です。

①協会 ②宮殿 
③住宅 ④工場

以下、回答です

[1] ④ [2] ② [3] ③  

いかがでしたか?イタリアの「アルベルベッロのトゥルッリ」もとても人気の観光地です。屋根が固定されていないとは、全く驚きです。その理由もさることながら、災害の多い日本ではみられない建築ですね。それにしても白い家の壁と他に喩え難い独特のデザインが青空に映えて、見応えのある素晴らしい風景です。

日本でも海外でも昔から残る集落の風景というのは、なぜか心を落ち着かせるものですね。

そこにある、文化、伝統を未来に継承してほしい、と思うのは観光客のエゴなのかもしれませんが願わずにいられません。  

では、また明日。  

tomo

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