
本日の世界遺産はイギリスとブラジルからです。
スコットランド南部の「ニュー・ラナーク」は、近代的な労働や雇用の体系に近いものができてきた過程がみられます。
残念ながら、画像が準備できなかったので
ブラジルからは、首都ブラジリアです。上からみると飛行機の形をしているという街の中心部には、近代的な建築が沢山あります。
①ニュー・ラナーク(英国(グレートブリテン及び北アイルランド連合国)
登録年:2001年
登録基準:(ⅱ)(ⅳ)(ⅵ)
人道主義に貫かれた産業コミュニティー
グラスゴーの実業家デヴィッド・デイルは、スコットランド南部のニュー・ラナークに当時最先端の技術だった*リチャード・アークライトの水力紡績機を導入して綿紡績工場や労働者のための住宅などを建てた。
*リチャード・アークライト:1768年に水車を利用した水力紡績機の実用化に成功
さらに、デイルの娘婿であるロバート・オーウェンは、労働者のための施策を次々と実施した。
彼は「質の高い生活を営み、優れた教育を受けた労働者がいなければ、事業の効率は上がらない」という信念をもっていた。
1813年に村の広場に設けられた3階建ての購買所では、工場で一括購入した食料や衣料といった生活必需品を安価で労働者に売り渡す、生活協同組合のようなシステムが整えられた。
また、当時のイギリスでは1日14〜16時間労働が一般的であったのに対し、オーウェンは12時間に短縮するとともに10歳以下の子供の雇用を禁止するなど、近代的な雇用システムを確立した。
労働者の子供たちは暖房完備の学校で読み書き計算などを学んだ。
1816年にはイギリス初の幼稚園ともいわれる幼児クラスも設けられ、子供をもつ女性労働者にも配慮した労働環境が整えられた。
空想的社会主義
イギリスのロバート・オーウェンやフランスのサン・シモン、フーリエらは人道主義的立場から理想社会の実現を考えた。
科学的社会主義を唱えるマルクスやエンゲルスは、新しい社会の実現方法を示せない彼らを空想的であるとして批判した。
①ブラジリア(ブラジル連邦共和国)
登録年:1987年
登録基準:(ⅰ)(ⅳ)
新生ブラジルの首都

ブラジルの中西部、標高約1000mのブラジル高原にあるブラジリアは、ポルトガル植民地時代より首都であった大西洋岸のリオ・デ・ジャネイロに代わる新首都として建設された。
ジュセリーノ・クビチェック・デ・オリヴィエラ大統領が打ち出した首都移転計画「新都ブラジリア計画」は、経済的に立ち遅れていたブラジル中西部をブラジルの新たな中心として発展させようとするものであった。
1956年に着工すると、わずか4年後の1960年に完成した。
世界遺産には完成から27年後の1987年に登録されており、建設されてから世界遺産登録されるまでの期間が最も短い遺産である。
設計の中心となったのは、近代建築の巨匠ル・コルビュジエに学んだブラジル人建築家*オスカー・ニーマイヤーとルシオ・コスタで、コスタの都市計画をもとにニーマイヤー設計の独創的な建築群が建ち並ぶ近未来的な都市が築かれた。
*オスカー・ニーマイヤー:1907〜2012。リオ・デ・ジャネイロ出身の建築家。ル・コルビュジエとともに、国際連合本部ビルのデザインにも参加
ブラジリアの中心部は上空から見ると飛行機の形をしており、その機首に当たる場所には、連邦議会議事堂や最高裁判所、大統領府などの政府機関が並ぶ「三権広場」がある。

胴体部分には、キリストの茨の冠をイメージさせるブラジリア大聖堂や緑地帯、商業・文化関連施設が並び、翼部分には正方形の敷地に住宅や学校、公園などがつくられた。

道路網は立体交差が用いられ、信号はほとんどなくバスや自動車のみが交通手段となっている。
主な構成資産には以下のものがあります。
アルボラーダ宮殿(大統領官邸)
国会議事堂
連邦最高裁判所
三権広場
カテドラル・メトロポリターナ
ドンボスコ聖堂
クビチェック大統領記念館
国立美術館
ジュセリーノ・クビチェック橋
国立劇場
テレビ塔
③本日の練習問題
世界遺産検定3級の過去問題、そしてオリジナルの出題です。
[1]イギリスにある『ニュー・ラナーク』が築かれた時代・時期として正しいものはどれか
①古代ローマ時代
②大航海時代
③絶対王政の時期
④産業革命の時期
[2]世界遺産にも登録されているブラジルの首都はどこでしょうか。
①リオ・デ・ジャネイロ
②ブラジリア
③サン・パウロ
④サルバドル
以下回答です。
[1] ① [2] ②
いかがでしたか。
ニュー・ラナークは画像がわかりやすい画像が入手できなかったので、またみつけたら更新したいと思います。
ブラジリアの近代的な街の建設は興味深いですね。
近代建築の独創性は感嘆のひとことです。ぜひ一度遊びに行ってみたいです。
ではまた明日もお待ちしています。
tomo
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