既にご指摘されていたら申し訳ありません。ムザブ族は北ア「メ」リカのベルベル人、という誤植があります。
ル・コルビュジエの建築作品
- By: Tomo
- カテゴリー: 世界遺産検定3級4級

さて本日は、東京の上野にある世界遺産です。東京の街中に世界遺産があることは、私は最近まで知りませんでした。登録は2016年とかなり最近登録されていますが、富岡製糸場登録の時に比べると、さほど盛り上がりはなかったように思います。それもそのはず、本日学ぶ『ル・コルビュジエの建築作品:近代建築運動への顕著な貢献』については、日本を含む複数の国にある建築物がまとめて登録されています。日本の建築家の作品でない事もあり、歴史や文化的にもピンとこないというのが正直なところなのかもしれません。
とは言え、「国境を超えて登録された世界遺産」は日本初のこと。世界遺産好きとしては興味を持たないはずがありません。
構成資産は17ありますが、世界遺産検定3、4級の試験対策としては、東京にある「国立西洋美術館」と、複数の国にまたがる遺産「トランスバウンダリー・サイト」について確認しておけば大丈夫です。

ル・コルビュジエの建築作品:近代建築運動への顕著な貢献
①基本情報
登録年:2016年
登録基準:①②⑥
近代建築において世界規模での交流が見られる価値
②基礎知識
この遺産は、建築家ル・コルビュジエが設計したフランスやスイス、アルゼンチンなど7カ国に点在する17の資産で構成されている。日本からは東京の上野にある「国立西洋美術館」が登録された。
これは複数の構成資産からなる「*シリアル・ノミネーション・サイト」であるだけでなく、日本で初めて国境を超えて登録された「*トランスバウンダリー・サイト」でもある。
スイスで生まれ、フランスで活躍したル・コルビュジエは、これまでのヨーロッパで伝統的に作られてきた「壁が建物を支える」建築ではなく、「柱が床を支える」建築という新たな概念を生み出し、その概念をいかす「*近代建築の五原則」を示した。
第二次世界大戦後、*松方コレクションを展示するために築かれた国立西洋美術館の本館には「*無限成長美術館」という新たな概念や「*ピロティ」、「*モデュロール」など、ル・コルビュジエの特徴がよく表れている。
*シリアル・ノミネーション・サイト:同じような特徴や背景を持つ遺産を、1つの世界遺産として登録したもの
*トランスバウンダリー・サイト:同じような特徴や背景を持ち複数の国にまたがる遺産を、各国共同で1つの世界遺産として登録したもの
*近代建築の五原則:近代建築で必要な5つの要素。「ピロティ」「屋上庭園」「自由な平面」「水平連続窓」「自由な正面(ファサード)」
*松方コレクション:実業家の、松方幸次郎が20世紀初頭に集めた西洋美術の作品群
*無限成長美術館:作品が増えると螺旋状に展示室を増やすことができる構造の美術館
*ピロティ:柱で床を支えることで、地上の吹き抜けの空間を作ったもの
*モデュロール:ル・コルビュジエが考案した、建築の寸法を決める際に人体のサイズを基準としたルール
構成遺産17作品
フランス(10)
- ラ・ロッシュ=ジャンヌレ邸
- ぺサックの集合住宅
- サヴォア邸
- ナンジュセール・エ・コリ通りのアパート
- マルセイユのユニテ・ダビタシオン
- サン・ディエの工場
- ロンシャンの礼拝堂
- カップ・マルタンの小屋
- ラ・トゥーレットの修道院
- フィルミニの文化と青少年の家
スイス(2)
- レマン湖畔の小さな家
- イムーブル・クラルテ
ドイツ(1)
- ヴァイセンホフ・ジードルングの住宅
ベルギー(1)
- ギエット邸
アルゼンチン(1)
- クルチェット邸
インド(1)
- チャンディガールのキャンピトル・コンプレックス
日本(1)
- 国立西洋美術館
国立西洋美術館
国立西洋美術館は、ル・コルビュジエが設計した国内唯一の建造物(1959年竣工)。ピロティー、スロープ、自然光を利用した照明などル・コルビュジエの建築的な特徴がよく表現されている作品で、日本の戦後建築に大きな影響を与えた。
また国立西洋美術館は、ル・コルビュジエが長年追求してきた「無限に成長する美術館(美術作品が増えても必要に応じて外側へ増築して展示スペースを確保できる美術館)」構想を実現した美術館の一つでもある。ピロティーとなっている1階の正面入口から建物の中心となるメインホール(19世紀ホール)に入ると、スロープで2階の展示スペースへのぼり、回遊することができる。
19世紀ホール
天井が吹き抜けとなっており、三角形の窓から入る自然光でホール全体を明るく照らす。19世紀ホールから2階展示室へ続くスロープでは、登りながら空間の変化を楽しむことができる。
照明ギャラリー
2階展示室にある、自然光を取り込むガラス張りの空間。現在は人口の証明が使われている。

免震化
阪神淡路大震災後、国立西洋美術館でも免震工事が行われた。文化的価値の高い建物本体には手をつけず底面に揺れを吸収する装置を差し込む方法で1998年に完成。

前庭にあるロダンの「考える人」の台座の下にもローラーをつけて免震化が施されている。

③似ている世界遺産
アルジェリア民主人民共和国、ムザブの谷

登録年:1982年 登録基準:②③⑤
『ムザブの谷』は、11〜12世紀ごろにムザブ族が築いた城塞都市が点在している地域。ムザブ族は北アフリカの*ベルベル人の一部族で、イバード派のイスラム教徒である。同じイスラム教のウマイヤ朝の迫害から逃れてきた人々がこの地に移り住み、都市を築いた。 ガルダイアを中心に5つの都市が世界遺産に登録されている。
ムザブ族は優れた灌漑技術を持っており、ほとんど雨の降らないこの土地に井戸を掘って地下水路を建設し、美しいオアシス都市を作り上げた。ベージュやターコイズブルーに塗られた立方体の独特な建物が立ち並ぶ都市の景観は、ヨーロッパの建築に大きな影響を与えた。
ル・コルビュジエもこの地に魅せられ、「インスピレーションが枯渇するたびに、私はガルダイアへの航空券を買う」と語ったという。
ベルベル人:北アフリカに古くから住む先住民(Wikipedia/ベルベル人)
④本日の問題
世界遺産検定4級からの問題3問です
[1]2016年に日本から登録された「国立西洋美術館」を設計した人物は誰でしょう
①アントニオ・ガウディ
②バルトルディ
③ル・コルビュジエ
④ダーウィン
[2]「国立西洋美術館」の説明として、正しくないものはどれでしょう
①他の国の建築作品と合わせて登録された
②ル・コルビュジエが設計した
③東京都にある
④日本で最大の広さを持つ美術館である
[3] 『ル・コルビュジエの建築作品:近代建築運動への顕著な貢献』に関する文中の空欄( A )、( B )に当てはまる語句の久米合わせとして正しいものはどれでしょうか
『ル・コルビュジエの建築作品:近代建築運動への顕著な貢献』は「トランスバウンダリー・サイト」として登録されました。これは( A )遺産のことを指します。またその中のひとつの「国立西洋美術館」は( B )にあります。
①A.複数の国にまたがる-B.東京都
②A.複数の国にまたがる-B.京都府
③A.保有国が実在しない-B.東京都
④A.保有国が実在しない-B.京都府
以下、回答です
[1] ③ [2] ④ [3] ①
いかがでしたか?世界遺産が隣合わない複数の国にまたがるというのは初めて耳にしましたが、その1つが日本にあるというのは、世界遺産好きとしては嬉しいものです。
建築の専門的な用語も出てきましたが、過去問を中心にポイントを抑えていきましょう。ル・コルビュジエ…も覚えにくい名前ですね。。。
では、また明日。あ、明日も東京の世界遺産です。どこでしょうか、お楽しみに。
tomo
REV.1:ベルベル人についての誤植訂正および説明の追加