小笠原諸島
- By: Tomo
- カテゴリー: 世界遺産検定3級4級

本日も引き続き東京にある世界遺産です。『小笠原諸島』一度は耳にしたことのある場所だと思いますが、東京の都心からは、なんと1,000Kmも離れているそうです。「東洋のガラパゴス」とも呼ばれたりする、自然が美しく独特の生態系を有する場所なのだそうです。
一度行ってみたいと思うのですが、気軽に行ける場所ではないので、しばらく叶いそうにありません。フェリーでしか行けず、それも数日に1便の運航しかないのだそうです。行きづらい場所と聞くと、なおさら行きたくなってしまうのは私だけでしょうか?
一体どんなところなのでしょうか。
①基本情報
登録年:2011年
登録基準:⑨
海洋島で独自の進化をとげた生態系の価値

②基本知識
小笠佐原諸島は、小笠原群島と周辺の大小30ほどの島々から成り、東京の都心から南に約1,000km離れた海上に位置している。
首都に属する世界遺産は世界でも珍しい。
大陸や日本列島と一度も陸続きになったことのない海洋島であるため、独自の進化をとげた固有種の動植物が550種以上生息しており、面積に対しても固有種が多いという点が特徴である。
特にカタツムリの仲間である陸産貝類(りくさんかいるい)は、現在までに小笠原諸島で確認されているうちの約95%が固有種であると考えられる。これは日本列島やポリネシア、東南アジアから流れ着いた種が、小笠原の環境に順応しながらさまざまに分化した「*適応放散(てきおうほうさん)」の典型である。
また小笠原の森では、固有種の割合が高く、日本の本土で多くみられるブナやシイ、カシなどは存在しない。
小笠原諸島は、江戸時代まで人の住まない島であったため「無人島(ブニンジマ)」と名付けられ、そのため英語では「ボニン・アイランズ(Bonin-Islands)」と呼ばれるようになった。
しかし、人々が暮らすようになると、外来種が島々に入り込むようになり、小笠原諸島の固有種を含む多くの昆虫が捕食され減少するなどの被害が出ており、固有の生態系が脅かされていることが問題となっている。
*適応放散:起源を同じくする種が、環境に順応してさまざまに分化すること
南島の洞門(どうもん)と扇池(おうぎいけ)

ミナミハンドウイルカ

小笠原諸島の近海では、ミナミハンドウイルカのほか、絶滅危惧種のマッコウクジラの繁殖も確認されている。
ヒロベソカタマイマイの化石

小笠原群島の成り立ち
小笠原群島(父島列島、母島列島、聟島列島)は、海底プレートが動くことでできる「海洋性島弧」である。
5,000万年前にできた海底火山が噴火を繰り返し、やがて列島となった。 また小笠原群島は、高温のマグマが冷えてできる特殊な火山石ボニナイト(無人岩)を地上で見ることができる世界唯一の場所である。
③似ている世界遺産
エクアドル共和国『ガラパゴス諸島』
1978年に登録。2001年に範囲拡大。
登録基準⑦⑧⑨⑩(自然遺産)
『ガラパゴス諸島』はエクアドル西方の太平洋上にある大小の島と周辺の岩礁からなる火山群島である。
小笠原群島と同様に一度も陸続きとなったことがないため、イグアナや*フィンチなどの動植物が大陸と隔絶された環境で進化し、独自の生態系を生み出してきた。
*フィンチ:スズメの仲間の小鳥。くちばしの形が島ごとに異なるガラパゴス諸島の13種のフィンチは、「ダーウィン・フィンチ」と呼ばれる。
この地を訪れたイギリスの博物学者*チャールズ・ダーウィンは、*ゾウガメやウミイグアナなどの生物が、同じ種でも生息する島ごとにそれぞれ違った特徴を持っていることに気がついた。特にフィンチは島ごとにくちばしの長さや太さ、形が違うなど、違いが明らかであった。ダーウィンはこのことから進化論のアイデアを得て、「種の起源」を著した。
*チャールズ・ダーウィン:19世紀のイギリスの博物学者。海軍の観測船ビーグル号の航海に参加したときの調査結果から、進化論のアイデアを得た。
*ゾウガメ:甲羅の長さが1mを超すような大型のリクガメ。スペイン語でゾウガメは「ガラパゴ」と呼ばれ、ガラパゴス諸島の名前の由来になった。

ウミイグアナ
観光地化が進み、また外来種の繁殖により 『ガラパゴス諸島』は危機遺産リストに記載されました。その後の政府の取り組みが評価され、2010年に危機遺産リストを脱しました。
④本日の問題
『小笠原諸島』は美しい海と多様な自然と動物たちの楽園といった場所ですね。いつまでもこの独特の環境を守って行きたいですね。
では、本日も世界遺産検定4級からの問題です
[1]『小笠原諸島』で見ることのできる生物は何でしょうか
①ニホンカモシカ
②ミナミハンドウイルカ
③ウミイグアナ
④ヒグマ
[2]『小笠原諸島』では、本来この地に生息していなかった種が島々に入り込み、固有の生態系を脅かしています。そのような種を何と呼ぶでしょうか。
①外来種 ②危険種
③妨害種 ④外的種
[3]『小笠原諸島』などでみられる「起源を同じくする種が、環境に順応してさまざまに分化する現象」として、正しいものはどれでしょうか
①弱肉強食 ②適応放散
③食物連鎖 ④垂直分布
以下、回答となります
[1] ② [2] ① [3] ②
いかがでしたか?四字熟語が増えてきましたね。学習する世界遺産が増えると、覚える用語も増えて行きますので、混乱しないように繰り返し問題などを解いて覚えていきましょう。
山深い場所にある白神山地とは対象に、本土と遠く離れた海の彼方にある小笠原諸島。どちらも気軽に踏み入れることのできない場所にあることで、独自の生態系が存在します。時代が便利になり交通が発達しても、この環境は変わらないで欲しいです。 世界遺産に登録されたことで、しっかりと保護していただきたいです。観光などで訪れる際も、外来種を持ち込んだり、自然を傷つけることの無いように十分に注意しなければいけませんね。
また、似ている世界遺産としてご紹介しました『ガラパゴス諸島』。こちらは生き物が大好きな方達にとっては憧れの場所ですね。観光地化されたことで、環境にも大きな影響が出てしまったようですが、壊しかけたものを修復して守るのもまた人、ということで(人間が近づかないのが一番良いのでしょうが)こちらの大切な生物や生態系も長く守り続けていきただきたいですね。
では、また明日
tomo