日本の遺産⑯潜伏キリシタン関連遺産

世界遺産検定2級
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この記事は世界遺産検定2級学習用に構成しています。

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アジア諸国へキリスト教の広がり(潜伏キリシタン・ゴア)

本日の世界遺産は『長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産』です。
2018年に世界遺産の仲間入りしました。
学習のポイントは、歴史の流れや構成資産がどの時代を証明するものか、などです。
構成資産は12と多めですが、時代と関連付けながら整理していきましょう。

①基本情報

『長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産』

長崎県・熊本県
<文化遺産>
登録年:2018年
登録基準:(ⅲ)
日本独自のキリスト教信仰の伝統を伝える

『長草と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産『は、10の「集落」と、1つの「城跡」と1つの「聖堂」という12の構成資産からなり、その資産は長崎県と熊本県の2県6市2町に点在しています。
これらの構成資産は、17世紀初めに江戸幕府がキリスト教を禁止してから、19世紀に明治政府がキリスト教を黙認する(禁教が解かれる)まので約250年間に及ぶ、日本独自のキリスト教信仰の姿と伝統を伝えています。

潜伏キリシタン」とは、その禁教期に密かに信仰を続けた人々を指します。

②構成資産

原城跡はらじょうあと
平戸ひらどの聖地と集落(春日かすが集落と安満岳やすまんだけ
平戸ひらどの聖地と集落(中江ノ島なかえのしま
天草あまくさ﨑津さきつ
外海そとめ出津しつ
外海そとめ大野おおの
黒島くろしま
野崎島のざきじま
頭ヶ島かしらがしま
久賀島ひさかじま
奈留島なるしま江上えがみ集落(江上えがみ天主堂とその周辺)
大浦天主堂おおうらてんしゅどう

③歴史

構成資産は大きく4つの時代に分けられています。

<1.始まり>

1549年、鹿児島に上陸したフランシスコザビエルにより、日本にキリスト教が伝えられました。
1550年に平戸で布教を行い人々の間にキリスト教の教えが浸透した一方で、豊臣秀吉や徳川幕府によってキリスト教が禁止されキリシタンたちが近況のもとでもひそやかに信仰を続けることを決意する時代です。

構成資産の「原城跡」は、1637年に天草四郎を総大将とする島原半島南部と天草地方のキリシタンたちが、幕府軍と戦った「島原・天草一揆」の主戦場で、この時代を証明する資産です。

この一揆が江戸幕府に大きな衝撃を与え、その後の鎖国(海禁体制)が確立されるとともに、潜伏キリシタンの歴史が始まりました。

<2.形成>

潜伏キリシタンたちが神道の信者や仏教徒などを装いながら密かにキリスト教信仰を続ける方法を作り上げていった時代です。

構成資産のがこの時代を証明しています。

平戸の聖地と集落()」は、キリスト教伝来以前から続く山岳や島に対する自然信仰にキリスト教の聖地を重ね合わせた場所です。

天草の崎津集落」は、漁場を生業とする漁村独特の方法で、あわび貝の模様を聖母マリアに見立てるなどして信仰をしていた場所です。

外海の大野集落」ではは古くから地元にある神社の氏子を装いながら信仰を続けられていました。

<3.維持、拡大>

潜伏キリシタン達が信仰を続けるために、外海地域から、より信仰を隠しやすい五島列島の島々に移住していった時代です。

構成資産のからがこの時代を証明する資産になります。

潜伏キリシタン達は、病人の療養地であった「頭ヶ島の集落」や、神道の聖地であった「野崎島の集落後」に移り住みました。
病人の療養地のために人があまり訪れない閉ざされた場所であったことや、神道の聖地にいるのは神道の信者であるとみなされるなど、潜伏キリシタンたちにとって信仰を隠しやすかった場所であると考えられています。

また、五島への移住は藩の開拓移民政策とも深く関係していました。
共同体を維持したい潜伏キリシタンたちと、未開地に移民を進めていきたい後藤藩と大村藩の共通の思惑により、開拓移民のキリスト教信仰が黙認されていた側面もあったようです。

<4.変容、終わり>

約250年ぶりにキリスト教の信仰を公に告白し、世界中を驚かせた「信徒発見」から教会堂が築かれていく時代です。

この時代を証明しているのが、国宝でもある「大浦天主堂」です。
1865年に浦山地区の潜伏キリシタンたちが大浦天主堂を訪れ信仰を告白した「信徒発見」は、奇跡としてローマ教皇にも伝えられました。

その後、潜伏キリシタンたちは、カトリックに復帰するものや、仏教や神道を信仰するもの、禁教期の信仰を続ける者(隠れキリシタン)などへと分かれていきました。
そしてカトリックに復帰した人々が住む集落には教会堂が築かれていきました。

④世界遺産登録を目指して

『長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産』は、日本の遺産としては初めて、諮問機関であるICOMOSとアドバイザー契約を結びました。
ICOMOS指導のもと推薦書の作成を行い、ICOMOSのアドバイスにより、「教会」を中心とした構成資産から、潜伏キリシタンが生活をした「集落」へと変更しました。
また遺産名も「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」から『長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産』へと変更されました。

⑤練習問題

[1]『長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産』 に関する次の文中の空欄に当てはまる語句として、正しいものはどれか。
長崎県の(   )には、江戸時代の禁教政策下に潜伏キリシタンが移り住み、信仰を守ってきた歴史があ流。島々に残る彼らの集落などが、『長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産』として登録されている。

①五島列島
②対馬列島
③隠岐諸島
④奄美群島

[2]『長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産』の構成資産が築かれた4つの時代のうち、「4.変容、終わり」の時期の価値を示す構成資産として、正しいものはどれか。

①大浦天主堂
②頭ヶ島の集落
③天草の崎津集落
④原城跡

⑥解答とエンディング

解答 [1]① [2]①

いかがでしたでしょうか。
私にとっては学ぶたびに新たな事実が発見されるところがあって、大好きな世界遺産です。
今回の記事の中にある、「五島に移り住むに当たっての藩の黙認があった」というところは、また新たに知った事実でした。

以前に書いた「「潜伏キリシタン関連遺産」行ってみたらこんなトコ」では、私が訪れた構成資産の深堀りもしていますので、興味があればぜひご覧ください。

では、またお待ちしています。

tomo

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