日本の遺産①平泉

世界遺産検定2級
2

この記事は世界遺産検定2級学習用に構成しています。

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平泉・日本独自の浄土思想
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平和を希求(平泉・ラリベラの岩の聖堂群)

本日学習する世界遺産は
『平泉–仏国土(浄土)を表す建築・庭園および考古学的遺跡群–』
です。
<学習のポイント>
・構成資産にはどんなものがあるか
・誰が建立、造園したか
過去の記事「「平泉」行ってみたらこんなトコ」もご参照ください。

①基本情報

『平泉–仏国土(浄土)を表す建築・庭園および考古学的遺跡群–』

岩手県
<文化遺産>
登録年:2011年
登録基準:(ⅱ)(ⅵ)
浄土思想の宇宙観をあらわす建築と庭園

『平泉–仏国土(浄土)を表す建築・庭園および考古学的遺跡群–』は、この地の豪族であった奥州藤原氏ゆかりの遺産です。
「中尊寺」「毛越寺」「観自在王院跡」「無量光院跡」「金鶏山」の5つの資産が含まれています。

東北に極楽浄土を築き上げようとした藤原清衡の思いは代々受け継がれ、11世紀後半から12世紀の後半にわたる約100年の間、平泉は文化の隆盛を誇りました。
藤原清衡は、堀河天皇の勅命を受け中尊寺を再興し、金色堂を建立しました。
毛越寺を再興したのが2代基衡で、観自在王院はその基衡の妻により建立されたと言われています。
無量光院は3代秀衡が造営した浄土庭園です。

構成資産
<中尊寺>
藤原清衡が再興した。
阿弥陀如来の極楽浄土を金箔で表現した金色堂には、藤原3代の遺体と4代泰衡の首級が収められている。

<毛越寺>
12世紀中頃に2代基衡が造営した寺院。
「大泉が池」を中心とする浄土庭園には、平安時代の遺構としては日本唯一、最大規模の「*遣水(やりみず)」が残る。
*遣水:平安時代の寝殿造の庭園で作られ始めた、池へ水を導く細い水路。自然の谷川を表現した遣水で「曲水の宴(きょくすいのうたげ)」などが催された。

<観自在王院跡>
東西約120m、南北約240mの寺域に大小の阿弥陀堂と浄土庭園のあった場所。1573年の火災で伽藍が焼失し、現在は浄土庭園が公園として残る。
2代基衡の妻が建立したと伝えられる。

<無量光院跡>
藤原3代で最も反映した時代を築いた秀衡が、宇治市の「平等院鳳凰堂」を模した阿弥陀堂を建築し、浄土庭園を造営した。西側に金鶏山を臨み夕景の美しい景観とした。

<金鶏山>
浄土庭園において仏国土を空間的に表現する際の中心的役割を果たす山。住居・政務の場となる居館や寺院などを造営する際も、金鶏山との位置関係が重視された。

②背景

藤原氏は政治の主体が貴族政治から武家政治へ転換していく時代の中、奥州で産出されていた金の力を背景に、軍事に頼らない平和な政治をこの地に実現させました。
平泉に残る遺産群は、当時の平泉が東北地方の行政の中心であり、さらには京都と肩に並べるほどの都市であったことを今に伝えています。

構成資産は、8〜12世紀に日本に広まった仏教の浄土思想の宇宙観に基づき建立されました。
6世紀に伝来した仏教は、日本古来の自然崇拝と結びつき、日本独自の展開を見せました。
11世紀末には世の中に末法思想が広がり始め、人々は現世での心の平和だけでなく、死後に仏国土(浄土)に行き成仏するという「浄土思想」を切望するようになりました。

この浄土思想が日本人の生死感の醸成に重要な役割を果たし、当時の建築や庭園にもその思想反映されています。
金色堂は、阿弥陀如来の仏国土(浄土)を表現した仏堂建築です。
また自然崇拝と仏教の融合は、庭園設計と造園によって仏国土(浄土)を現世に作り上げるという日本独自の発展につながりました。

③遺産の示す価値

ここまで見てきた通り、構成資産の建築、庭園群の理念や意匠などには、浄土思想が反映されています。
また、平泉の寺院・庭園の造営に重要な意義を持った浄土思想は、平泉で行われている宗教儀礼や民俗芸能などの無形の要素によっても継承されています。
中尊寺の境内では、浄土思想と直接的な関わりを持つ民俗芸能である「川西念仏剣舞」が今なお上演されているそうです。

仏教とともに伝来した伽藍造営や作庭の技術は、日本古来の水辺の祭祀場における水景の理念と結びつくことで、独自の浄土庭園を完成させました。
このような浄土庭園は、東アジアにおける建築や作庭技術の価値観の交流も示しています。

④練習問題

[1]『平泉–仏国土(浄土)を表す建築・庭園および考古学的遺跡群–』に含まれる寺院の説明として、正しいものはどれか。

①構成資産の寺院は、すべて藤原清衡によって築かれた
②天平文化を象徴し、国際色豊かな意匠が見られる
④金鶏山の山頂には多くの寺院が立ち並び、宗教都市としての性格を帯びている
④建築や庭園の意匠には浄土思想の宇宙観が取り込まれている

[2]『平泉–仏国土(浄土)を表す建築・庭園および考古学的遺跡群–』に関し、藤原清衡が再興した寺院( A )と2代基衡が再興した寺院( B )の組み合わせとして、正しいものはどれか。

①A.中尊寺 ー B.毛越寺
②A.中尊寺 ー B.輪王寺
③A.金峯山寺 ー B.毛越寺
④A.金峯山寺 ー B.輪王寺

◆世界遺産条約に関する次の文章を読んで、以下の問いに答えなさい。
(a)世界遺産条約は、人類や地球にとってかけがえのない価値を持つ建造物や遺跡、自然環境などを(b)「世界遺産」として保護し、次の世代へ伝えてゆく世界的な取り組みである。条約の理念に大きな影響を与えたのは(c)ヌビアの遺跡群救済キャンペーンであった。不動産を保護する世界遺産の他にも、人類のさまざまな文化を保護する取り組みとして、(d)無形文化遺産などがある。

[3]下線部(a)「世界遺産条約」の説明として、正しいものはどれか。

①世界遺産の平和利用のための機関の設立を定めている
②発効時は自然遺産のみを対象とする条約だった
③世界遺産を保護・保全する義務や責任はまず保有国にあることが書かれている
④世界遺産は国連加盟国が保有する物件の中から選ばれることが定められている

[4]下線部(b)「世界遺産」と関連する出来事が起こった順に並べたものとして、正しいものはどれか。
A.ユネスコの設立
B.国連人間環境会議の開催
C.アテネ条約の採択
D.世界遺産条約の採択

①A ⇒ B ⇒ C ⇒ D
②B ⇒ A ⇒ D ⇒ C
③D ⇒ C ⇒ A ⇒ B
④C ⇒ A ⇒ B ⇒ D

[5]下線部(c)「ヌビアの遺跡群救済キャンペーン」の説明として、正しいものはどれか。

①救済キャンペーンには、約50ヵ国もの国々や民間団体、個人が協力した
②アブ・シンベル神殿やフィラエのイシス神殿などが砂漠に埋もれることから救出することが目的だった
③救済された遺跡の一部は『メンフィスのピラミッド地帯』の構成資産として登録された
④世界遺産条約採択前に、ユネスコが唯一行った遺跡救済キャンペーンである

[6]下線部(d)「無形文化遺産」に関し、日本から登録されている無形文化遺産として、正しくないものはどれか。

①朝鮮通信使関連資料
②能楽
③歌舞伎
④山・鉾・屋台行事

⑤解答とエンディング

解答 [1]④ [2]① [3]③ [4]④ [5]① [6]①

いかがでしたでしょうか。
練習問題の参照過去記事のリンクも貼っておきます。
基礎知識②世界遺産誕生までの流れ
基礎知識③世界遺産の登録条件・登録基準
基礎知識⑦MAB計画・無形文化遺産

ということで、本日は『平泉–仏国土(浄土)を表す建築・庭園および考古学的遺跡群–』を学習しました。
藤原清衡は、平和を希求するという思想に基づいて中尊寺を再建しましたが、それは世界遺産にも通じるところがありますね。
建築や庭園だけでなく、伝統も継承されているというところも、平泉観光の際にはぜひ体感していただけたらと思います。

では、また明日。

tomo

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