負の遺産

本日は「負の遺産」について学びます。
先日までの危機遺産と同様に負の遺産は世界遺産検定4級、3級では必ずといわれるほど問われる部分でありますので、確実に押さえておきたい項目です。
特に日本の「原爆ドーム」は世界的に見ても負の遺産の代表的な遺産であり、ユネスコの活動の根幹である戦争のない平和な世界を目指す上で、欠かすことのできない重要な遺産であると考えられます。
4級での学習はこちらを参照ください。

①負の遺産とは

「負の遺産」は近現代に起こった戦争や人種差別など、人類が犯した過ちを記憶にとどめ、教訓にするためのものであるが、世界遺産条約で正式に定義されてるものではない

また、通常他の基準と合わせて用いられることが望ましいとされる登録基準(ⅵ)のみで登録されることのがあるのも特徴である。

「負の遺産」は大きく2つに分類される。

1つ目は戦争や紛争にまつわるもの。日本の『広島平和記念碑(原爆ドーム)』やポーランドの『アウシュヴィッツ・ビルケナウ:ナチス・ドイツの強制絶滅収容所(1949−1945)』(原爆ドーム・アウシュビッツ)など、第二次世界大戦に関係するもののほか、アフガニスタンの『バーミヤン渓谷の文化的景観と古代遺跡』のように宗教対立や民族紛争などに関係するものもある。

2つ目は人種差別にまつわるもの。
奴隷貿易が行われていたセネガルの『ゴレ島』や、人種差別制作に関係する南アフリカの『ロベン島』などがそれにあたる。

「負の遺産』は、世界遺産条約で正式に定義されているわけではないため、どの遺産が「負の遺産」に該当するのかは見解が分かれるものである。
しかし過去の反人道的行為を反省し、現在でも様々な形で残る紛争や人種差別をなくすために、これらの「負の遺産」が発するメッセージは重要である。

②ロベン島(南アフリカ共和国)

登録年:1999年
登録基準:(ⅲ)(ⅵ)
人種差別の歴史が刻まれた島

ケープタウンの北約11kmの沖合にあるロベン島は、周囲の海流が激しく脱出が困難であったため、17世紀より流刑地として使われ始めた。
1948年にアフリカ共和国において*アパルトヘイトが法制化されると、これに抵抗する政治犯を収監する刑務所として使用された。
のちに南アフリカ共和国の大統領となり、ノーベル平和賞を受賞したネルソン・マンデラも18年間投獄されていた。
アパルトヘイトが撤廃されると、ロベン島もその役目を終えた。

*アパルトヘイト:白人を優遇する人種隔離政策。1991年に法的に、94年に完全廃止された。

現在は、3000人以上を収容した刑務所や聖堂が残され、島全体が博物館となっている。
黒人が自由と正義を獲得した象徴として世界遺産に登録された。

③ゴレ島(セネガル共和国)

登録年:1978年
登録基準:(ⅵ)
奴隷貿易の歴史を物語る島

セネガルの首都ダカールの南東沖約3kmの位置にあるゴレ島は、アフリカの奴隷貿易の歴史を今に伝える重要な遺構である。
17〜18世紀には奴隷を商品とした*三角貿易の拠点として、支配国を変えながらも1815年の奴隷貿易廃止まで機能した。
島の東海岸には、奴隷を収容した奴隷の家が、島の北側にはフランスによってつくられたエストレ要塞が残っている。

*三角貿易:西ヨーロッパと西アフリカ、西インド諸国やアメリカ大陸などの植民地を結んだ3地域で行われた貿易。

④本日の練習問題

世界遺産検定3級の過去問題からの出題です。

[1]『広島平和記念碑(原爆ドーム)』が満たしている登録基準で、通常は他の基準とあわせて用いられることが望ましいとされているものとして正しいものはどれか

①傑作を示す登録基準(ⅰ)
②文化交流と関係する登録基準(ⅱ)
③伝統的集落と関係する登録基準(ⅴ)
④出来事と関係する登録基準(ⅵ)

[2]『ロベン島』ではかつて白人を優遇する人種隔離政策に抵抗する政治犯が収容されていた。この政策の名称として正しいものはどれか。

①レコンキスタ
②アパルトヘイト
③ホロコースト
④ディアスポラ

[3]『ゴレ島』の説明として正しいものはどれか

①アパルトヘイトに抵抗する政治犯を収監する刑務所があった
②奴隷を商品とした三角貿易の拠点であった
③ユダヤ人を収容する強制収容所があった
④タリバン政権により磨崖仏が破壊された

以下、回答です

[1] ④ [2] ② [3] ②

いかがでしたか?
負の遺産について学ぶ時には、気分が沈みますが、これらは人類の歴史という事実が色濃く出ているのもまた真実です。
時代は変わりましたが、アパルトヘイトなどは私自身子供の頃はまだ耳にしていた言葉でもあり、そう遠い昔の話ではありません。
そして人類は未だ争いを続けているというのも、また現実であります。
もちろん、アパルトヘイトや奴隷売買が行われていた頃と比べると表面的には平和になったと言えるのかもしれませんが、地球上の全ての人が平和であると言える未来が来ることを切に願います。

では、明日もお待ちしています。

tomo

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