文化的景観

本日は文化的景観が評価された2つの世界遺産について学びます。
フィリピンとスペインからの世界遺産ですが、同じように文化的景観が評価されたとはいえかなり趣向の違った遺産です。
フィリピンのコルディリェーラの棚田の風景は、日本人には馴染みのある水田の美しい景観です。

①フィリピンのコルディリェーラの棚田群(フィリピン共和国)

登録年:1995年
登録基準:(ⅲ)(ⅳ)(ⅴ)
2000年にわたって続く棚田の景観

フィリピンにあるルソン島の北部にある、標高1000〜2000mに位置するコルディリェーラの棚田群では、少数民族イフガオ族が2000年にわたって稲作を行なっている。

山岳地帯での農耕技術の多くは、口承によって受け継がれてきた。

この地域では、山頂付近から引いてきた水を、石積みの仕切りで止めることで水田を形成している。
それぞれの水田は斜面に沿って段々に位置しており、現在でも急勾配の棚田に大型農耕機械を導入することが難しいため、稲作のほとんどは手作業で行われている。
田植えや収穫などの農作業時や、冠婚葬祭などの儀式の際に歌われる「ハドハド」は、2001年に無形文化遺産に登録されている。

世界遺産に登録されているのは、バナウエ、マヨヤオ、キアンガン、ハンドゥアンの4地域で、四季折々の景観の変化と自然に寄り添った人々の伝統的な生活様式が文化的景観をつくりあげている。

近年は、若者が都会へ出稼ぎに出ることによる後継者不足や、周辺のホテル建設などの観光開発、新品種の導入などによる棚田の荒廃が問題となっている。

日本の棚田百選

1999年に農林水産省が全国117市町村、134地区にある棚田を認定したもの。
国土や環境の保全、日本古来の農業技術の保存、文化的景観を守る活動が全国各地で行われている。
なお、田植えや稲刈りなどの農業体験を行なっているところもある。

②アランフエスの文化的景観(スペイン)

登録年:2001年
登録基準:(ⅱ)(ⅳ)
王家の繁栄を伝える離宮

アランフェスは、スペインの中部にある首都マドリードから南へ約50kmに位置する。
11世紀にカスティーリャ王国領となった後も、イスラム諸国家との間で領土争いが繰り返されたため、イスラム文化が色濃く残されている。
15世紀にレコンキスタで活躍した*カトリック両王が王領地としてからは、王家の避暑地として整えられた。

*カトリック両王:ローマ教皇アレクサンデル6世によって、カスティーリャ女王イザベラ1世とアラゴン王フェルナンド2世に授けられた称号

現在、アランフエスには15〜18世紀にカスティーリャ王や、続くスペイン王によってつくられ整備された離宮や多くの庭園が残る。
フェリペ2世の命で16世紀に建設が始まった離宮は、マドリードのエル・エスコリアール修道院(参照)と同じく、建築家フアン・デ・エレーラが設計を行い、18世紀にはフェルナンド6世、カルロス3世、イザベル2世といったフランス王家と同じブルボン家(スペイン・ブルボン家)の王たちがヴェルサイユ宮殿を模した宮殿に改修した。
その後も火災のために改修と増築が繰り返され、現在見られるような美しい離宮となった。

ヴェルサイユ宮殿を模したバロック様式の離宮

離宮には、部屋全体が陶磁器のタイルで覆われた「陶磁器の間」や、イスラム風の装飾が施された「アラブの間」などの、美しい内装が残されている。

また、タホ川の水を用いた「島の庭園」や、アジア風の小屋が残る「王子の庭園」、世界から集められた植物が栽培された農園など、周囲の自然との調和のとれた景観も評価されている。

 

③本日の練習問題

世界遺産検定3級の過去問題からの出題です。

[1]「コルディリェーラ山脈の棚田」に関し、棚田を2000年にわたって受け継いできた少数民族として、正しいものはどれか

①イフガオ族
②長耳族
③マサイ族
④アナング族

[2]『フィリピンのコルディリェーラの棚田群』で冠婚葬祭などの儀式の際に歌われる歌が無形文化遺産に登録されている。その歌として正しいものはどれか。

①ハドハド
②ボノボノ
③マケマケ
④ガドガド

[3]日本で初めて文化的景観が認められた遺産として、正しいものはどれか

①富士山ー信仰の対象と芸術の源泉
②厳島神社
③白川郷・五箇山の合掌造り集落
④紀伊山地の霊場と参詣道

以下回答です。

[1] ① [2] ① [3] ④

いかがでしたか?

本日は文化的景観が評価された世界遺産について学びました。
長い歴史をかけて自然と調和してきた文化や景色は、その保護や継承が課題になるようですね。
フィリピンの棚田は今回初めて知りましたが、大変な規模の棚田です。
季節ごとにまた違った色彩の景色が楽しめるのでしょうね。

ではまた明日もお待ちしています。

tomo

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